心配事の97%は起こらない。
実際に不安性に悩む人に、その内容が実際に起こったかどうかを、2週間にわたって調査した結果、ほとんどの心配は起こることがありませんでした。
しかし、人は未知のものに対して不安になってしまいます。
かくいう自分も、新しいことに対しては、とても不安になる性格です。新しい仕事、新しい職場、新しい環境、未知のものに対しては常に不安でもあるし、毎日の生活でも多少の不安がつきまとい、緊張状態が続くこともしばしばです。
そんな不安をどうしたら打ち消せるのか?
気にしなければいいじゃない、と言ってしまうのは簡単ですが、人間、そうも簡単にはいきません。
ストレスを書き出したり、瞑想したり、具体的な解決法を検討したり、今まで、色んなアプローチ方法が書かれた本を読んできました。どの本もそれなりの説得力はありましたが、その一方、いまだにスッキリすることはありませんでした。
この「MU=(最高の状態)」という本は、いわゆる無我の境地にいたり、自分の生きる不安を消すにはどうすればいいか、ということを、著者が様々な心理学の研究をリサーチして、科学的にアプローチする方法を、具体的な実践方法とともに、明快に打ち出しています。
そもそも、人間は古代より、ネガティブな人間でした。というか、ネガティブだったからこそ生き残れたと言えるかもしれません。狩りに出たり、厳しい自然環境で生き抜くには、できるだけ臆病になるのが生き残るための最適解なのです。
ネガティブな人間のほうが、命を落とす危険性がなく、一度の生死を分ける環境であれば、危険を知らせる情報のほうが価値が格段に重かったのです。
同じ感覚を現代人も自然と引き継いでいます。
しかし、現代では生死を分けることに出会うことも少なくなり、そのネガティブに考えるバイアスが機能不全を起こし、逆に現代人の生きづらさとなっています。
人の不安は消せないもの、自然なもの、無理に消すのではなく、それを科学的にどう解釈し、アプローチしていけばいいかの理由と方法が、本書で紹介されています。
人によって、合う合わないはあるとは思うのですが、非常に説得力があり、不安を超えた、無我の境地に達することで、人生の生きづらさは、とても違ってくるのではないかと思います。
それぞれのアプローチ方法はまだ試していませんが、ネガティブを受け入れたうえで、それを超える方法を、非常にわかりやすく解説しており、今までの「不安乗り越え本」の集大成といった感じで、非常にお気に入りの1冊となりました。